ワインスクールの友達と『ワイナリーに行ってみたいですね』と話していたところ、
以前私の友人から『山梨県の“ぶどうの丘”という場所で、約180種類くらいのワインを試飲できるよ』という話を思い出したので、
一同は山梨県の勝沼へワイン三昧旅行へ。
その計画の際、スクールの友達が先生にお勧めの場所を伺ったところ、なんと先生のご厚意で、ワイナリーとランチの美味しいお店も手配して頂ける事に!!
さらにスクールの友人Kさんは、電車の時間まで全て調べてくれるというまさに至れり尽くせり状態。
なんてホスピタリティ精神にあふれている人々なのだろうか。
きっとみんな先生や友人のような人たちであれば、この世から争いや貧困は無くなるのでしょう。
完全なる他力本願で楽しむ、勝沼ワイン旅行の思い出を書いていきます。
その1では『勝沼醸造』さんのワイナリーツアーのまとめです。
勝沼ぶどう郷駅に到着
JRの中央本線を甲府・松本方面へ。
新宿から特急の『あずさ』や『かいじ』で大月駅まで行き、そこから各駅停車に乗り換えると到着します。
所要時間は新宿から約1時間半くらいです。
観光シーズンの場合は、上記の特急電車が臨時停車する場合もあるそうです。
私は中央線がここまで伸びているんだなという事に驚きました。
到着するとまず素敵な景色に心奪われました!!
天気も良くいい一日になりそうです♪
勝沼醸造さん
一同最初の目的地は勝沼のワイナリー『勝沼醸造』さん
公式HP:https://www.katsunuma-winery.com/
駅からタクシーに乗り、約7~8分ほどで到着。
ワイナリーというと、近代的なイメージがあったのですが着いてびっくり!!
なつかしさを感じる、和の佇まい。
有形文化財にも登録されています。
先生のお力のお陰で、勝沼醸造社長の次男で営業を担当されている有賀淳さんにご案内して頂くことが出来ました。
2階リーデルグラスギャラリーでドキュメンタリーの視聴
最初は二階のリーデルグラスギャラリーと呼ばれるお部屋で、
勝沼醸造さんの歴史やワイン造りへの想いを綴ったドキュメンタリーを見せて頂きました。
まず驚くのは両脇の棚にずらー-っと並んだリーデルグラス。
映像の中に出てきましたが、社長さんが『リーデル社の人がうちにきて甲州専用のグラスを作ってくれないかなぁ』と願いながら、このギャラリーを作ったところ
本当に来てくれて、開発に至ったようです!!
想いの力って凄い!!
その視聴の際に、甲州で造った『ぶどうジュース』を飲ませて頂きました。
ワインではなく、ジュースだとどんな味わいなんだろう?
これがとても不思議なのですが、香りが『お芋』でした!!
なぜぶどうからお芋の香りが?
そして味わいは『りんごジュース』に近い。
なぜぶどうからリンゴの味わいが?
ワインになるとスッキリになるので、
本当に不思議な果実だなぁと思いました。
ドキュメンタリーでは、勝沼醸造さんの想いや、それに連なる方々の想いを学ばせて頂きました。
・ワイン造りを通してその土地や、人に価値を見出す。
・雨の多い日本ではワイン用のぶどうの栽培は難しいとされていますが、それを個性と受け止めて『甲州』で世界にアピールするんだという想い。
・社長の3人の息子さん達が、醸造、営業、栽培の分野で力を合わせながら、勝沼醸造の『核』となる部分を共有してワイン造りをしている。
という点が、視聴していて私はグッときました。
ボトルの中には、そういった色々な人の想いや情熱が詰まってるんだなぁ。
ぶどう畑見学
視聴後は、ワイナリー裏のぶどう畑を案内して頂きました。
初めて見るぶどう畑に一同大興奮!!
このぶどうたちが醸造工程を経てワインになるんだなと思うと感慨深いです。
畑の中に入らせて頂いた際には、間近でまじまじと眺めてしまいました。
実際に甲州を食べていいですよとOKを頂いたので食べてみました。
ぶどうは上の方の果実の方が甘いみたいなので、美味しそうなのをチョイス
実だけ食べたら、とっても甘くておいしい!!
この甘さがアルコールに変わって、ワインになるとスッキリ味になるのかなと思うとやはり不思議です。
果皮も食べてみました。
渋いッ!!
果実の甘さからは想像出来ない渋み
果皮も厚めで食べごたえがありました!!
ちなみに勝沼の年配の方々は、ぶどうは皮を剥いたら丸飲みで食すのがデフォルトなようです。
私は噛みます!!(譲れない思い
あとメルローも植えられており、こちらも食べさせて頂きました。
まろやかで土のニュアンスがあるメルローさんは、食べるとどんな味なのか?
むむっ!?
甘くておいしい!!
あと果皮が薄いのでそこまで渋みがなくて、皮ごと食べても美味しかったです。
赤ワインになるブドウの方が渋いイメージがあったので、やはり実際に経験してみないとわからないなと思いました。
あと現在ワイナリーのお隣に醸造所兼テラスも作っているようで、10月ごろ完成予定だそうです。
勝沼醸造さんではいち早く、『クヴェヴリ』でのワイン造りを行なっており
この新設中の建物にもクヴェヴリを埋め込んだそうです。
完成したらまた来ようねと友人たち約束し、また新しい楽しみが増えました♪
テイスティングタイム
そしてついに来ましたテイスティングタイム。
やはりワイナリーに来たなら飲みたいですよね♪
かつ今回は、ただ飲むのではなく『テーマ』に沿ってのテイスティングをさせて頂きました。
グラスの違いで味わう
最初に試飲させて頂いたのは、勝沼醸造さんといえばまずはこの一本。
『アルガブランカ クラレーザ』
甲州の辛口タイプ
ステンレスタンクで発酵熟成、シュールリー。
まずは普通のグラス(画像の左右のグラス)で試飲。
ゆずとかレモンのカンキツ系のさわやかな香り、味わいは甲州らしい豊かな酸のスッキリ感、塩味も感じます。
あとビタータイプだそうで、余韻に苦みも感じます。
美味しい♪
鉄分が少ないので、こちらはペアリングが難しいとされる『イクラ』とも合わせられるようです!!
そして同じワインを甲州用のグラス(画像真ん中)で頂く。
するとどうでしょう!!
香りが先ほどと比べてより優しく豊かに香ってきます。
味わいも口当たりがまろやかになり、同じワインとは思えない!!
一同顔を見合わせながら、驚きを隠せずキョロキョロ
グラスの違いでもこんなに香りや味わいに変化があるとは思いませんでした!!
この甲州用のグラスは、リーデル社のヴェリタスというタイプだそうで
シャンパーニュ用としても使えるということで、そのグラスで次はスパークリングを頂きました。
『アルガブランカ ブリリャンテ』
瓶内二次発酵で造る甲州のスパークリングワイン。
こちらは漫画『神の雫』でも登場し話題になりました。
サッパリ辛口!!
かつ甲州の良さがそのまま出ています!!
スパークリングになった事でよりキレが増している!!
天ぷらと相性抜群だそうで、これは是非とも合わせてみたい!!
テロワールの違いで味わう
次のテーマは『テロワール』
同じ甲州でも、テロワールが違うとどうかわるのか?
というテーマで今回は頂きます。
今回飲み比べるのは、
『アルガブランカ クラレーザ』
『アルガブランカ イセハラ』
『アルガブランカ ボシケ』
クラレーザは様々な畑から収穫した甲州を使って造られています。
そのアッサンブラージュには日本一有名なソムリエである『田崎信也』氏が行っているようです。
イセハラという名は、イセハラ圃場から収穫した甲州のみを使って造りましたという『単一畑』でのワインになります。
こちらは令和天皇即位の晩餐会で提供されたワインです。
そして最後のボシケはイセハラの周りの畑からとれた甲州で酸を活かすために『早摘み』をしてワインにしているそうです。
まずクラレーザとイセハラを比較。
クラレーザは柑橘系のさわやかな香りのイメージでしたが
イセハラは、白いお花?白桃の様な甘い香り
クラレーザと比べて明らかに重厚感がありました。
同じ『甲州』なのに、なぜここまで違うのだろう?
更に、そのイセハラの周りの畑でとれたボシケを試飲してみると
やはり別物!!
似ている部分は確かにあります。
クラレーザに比べるとイセハラ寄りのすこし甘い果物のような香り
しかしイセハラとは違う。
こちらの方が酸が豊かで、イセハラに比べると重厚感よりスッキリさを感じました。
とここで有賀淳さんもおっしゃっていましたが、
『甲州の沼に陥ってきたでしょう?』
という言葉通り、『甲州とはこういうワイン』という概念が崩れ去りました。
その土地のテロワールや造り手の哲学を反映してくれる、とても繊細な品種なんだなとしみじみ感じました。
その他にも、その甲州を樽を使って熟成したらこうなるよという『アルガブランカ ピッパ』
勝沼醸造さんのワイナリーでしか飲めないワインや、リリース前のワインなども試飲させて頂き
至れり尽くせりのテイスティングタイムでした。
本当に楽しくて一同どっぷりと『甲州の沼』にズブズブに浸かってきたのでした。
後日、一緒に行ったワインエキスパートの二次試験対策の授業に出たKさんは
『ばっちりシャルドネを甲州と答えてきました』
と『甲州の迷宮』に迷い込んでしまった模様!!
ほんとうにテロワールや造り手の意図を繊細にくみ取ってくれる大和撫子みたいな品種だなと
今回のテイスティングで思いました。
甲州という品種の可能性を大いに体験できるテイスティングなので
是非多くの方に体感してもらいたいと思いました。
おわりに
今回一番感銘を受けたのはこれでした
『勝沼醸造が世界に通じる甲州のワインを造る事によって、この勝沼という土地に価値を創造し、景観の保護や地元の農家の方々が甲州というブドウに誇りを持ってもらえるようにする』
という想いでした。
まず勝沼という地で『世界』に通用するワインを造るには『甲州』に特化する。
そしていいものを造れば、その土地に価値が生まれ、景観が保全される。
そして、後継者問題など色んな問題を抱えている、農家さんへの問題解決のアプローチにつながり
農家さんがより、甲州というブドウに対して愛情を持ちいいぶどうを育ててくれる。
という好循環を率先して起こすんだという想い。
あと、販売して頂けるお店も勝沼醸造のストーリーをお客様に伝えてくれるお店に限らせて頂くという徹底ぶり。
今回が初めてのワイナリーの見学だったのですが、
こういう熱い想いをもって日々ワインを造って下さっているんだなという事を知る事ができて、
よりワインが好きになりました。
手配してくださった瀬川先生、熱い想いを伝えて下さった有賀淳さん本当にありがとうございました。
現在工事中(2022年8月現在)の建物が出来たら
また同じメンバーで伺いたいと思います。
本当にありがとうございました!!
青柳 伊織 Iori Aoyagi
『マダムM』との出会いから、モテたい一心でワインを勉強し始めるも、本格的に沼に落ちる。今ワインに言える事は『大好きです。今度は嘘じゃないっす。』ワイン友達を増やして、その仲間と『ロマネ・コンティ』をワイワイ開けるのが夢。ワイン初心者の私がぶつかった疑問や、経験の記事を書いています。
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