暑かった日々も過ぎ、少しずつ和らいできたかなと感じるようになってきました。
二次試験の勉強はいかがでしょうか?
正直なかなか時間がとれず苦戦をしていますが、
ウェブのセミナーや資料などをもとに日々練習しています。
自分の理解度を振り返るという意味で
今回はテイスティングフォームについてまとめていきたいと思います。
テイスティングフォームの基本的な流れ
エキスパートのテイスティングの試験に求められているのは、
『ワインの分析力』
じゃあどうやって目の前にあるワインを紐解いていくのか?
その時に使うのがテイスティングフォームと呼ばれる一連のルーティンになります。
まずは外観を見て、その次に香りを嗅ぎ、最後に実際に味わう。
ワインの分析はこの流れで行ないます。
二次試験で使われるコメント用紙を見てみると、
上から外観→香り→味わい→評価等の項目
という流れになっており、これは暗に
『テイスティングフォームに則って分析してくださいね』
という問題を出す側の意図を感じ取ることが出来ます。
得点の約70%がこの、外観、香り、味わいの部分になるので
まずは品種を当てることに走らずに、
目の前のワインはどんなワインなのか?
酸味がしっかりしているワインなのか?濃厚な味わいのワインなのか?
樽を使っているのか?いないのか?
というのを、しっかり分析出来る力をつけていこうと思います。
では勉強中の内容を、頭の中を整理する意味でまとめます。
外観
ここはしっかり時間をかけてみていきたいところ。
まずは、清澄度。
こちらはワインが健全であるかをチェック。
澄んでいれば問題なし!!
もし濁っていた場合は、特別な造り方をしていない限り、ワインの状態があまり良くない可能性があります。
次は輝き。
光の反射具合を見るのですが、酸が豊富だったり、若いワインの方がより強く輝きを感じるそうです。
そして大事な色調と濃淡部分。
色調では、
白ワインの場合、若いと緑、熟成をしてくると黄金から琥珀色へと変化していきます。
赤ワインの場合は、紫色からオレンジ、そしてレンガ色へと変わっていきます。
白ワインはフチが割と明るいワインが多いので難しいのですが、
赤ワインは紫色とオレンジ色の割合のうちどちらが強いか?というのを注意してみます。
紫が強い場合は若く、オレンジが強い場合は少し熟成している可能性があります。
濃淡の部分では、様々な要素があるのですが
基本的には濃い色のワインは、温暖な気候でしっかりと熟したブドウが使われていたり、タルでの熟成がされている可能性が高まり、
淡い色のワインは、冷涼な気候で酸がのったブドウが使われている可能性が考えられます。
目の前のワインは、どんな環境で育ち、どれくらいの時間を経て今に至るのか?
というの考察します。
色調と濃淡の見方は、グラスを奥に45度ほど傾けて、すこし遠くから見ます。
濃淡は奥に指をかざしてみて、どれくらい透けるか?で判断してみるのも手。
大切なのは、どんなワインでも同じように見る事。
毎回バラバラだと見え方が変わってきてしまうので、しっかりと揃えることを意識します。
粘性は、グラスを伝うワインがどのくらいのスピードで落下していくかを見ると言われていますが、
グラスのコンディションなどによっても変わったり、とっても難しい…
ということで大抵の場合は、アルコール度数が高ければ強く、低ければ弱いと判断できるそうです。
これら、色調と濃淡、粘性から得た情報から外観の印象を決めます。
この時にしっかりと覚えて置きたいのは、
外観では色んなワインの可能性をどんどん増やしていく段階だという事。
いきなり、『この色はシャルドネに違いない!!』と可能性を狭めるどころか断定してしまうと、
不思議なもので、次の香りや味わいを分析する際に、脳がシャルドネっぽさを勝手に探して自分を納得させようとします。
こうなると実際違う品種だったとしても間違いに気づけません。
なので、この品種もありうるし、あの品種もありうるなぁと
断定しそうになったら第二、第三候補を無理やり出して戦わせましょう。
いきなり断定、ダメ絶対!!
あくまでまだ序盤!!
外観は第一印象の段階であることを私は肝に銘じておこうと思います。(苦い経験あり
香り
外観からの情報をしっかり得た上で、香りの分析に入ります。
この香りをとる際に気を付けておきたいことが3つ。
- まずは香りの第一印象に集中
- いきなりグラスを回さない(スワリングしない)
- ずっとグラスに鼻を突っ込んで嗅がない
当たり前かもしれませんが、第一印象は最初だけです。
特に白ワインの場合、香りの特徴がしっかりとあるアロマティック系か、特徴があまりないニュートラル系かを全力で探りにいきます。
その際は、いきなりスワリング(グラスをクルクル回す)をしないようにします。
スワリングの効果は香りを変化させる事。
変化すると戻りません。
なので貴重な第一印象のヒントが、丸っとなくなってしまう場合があるので気を付けたいです。
スワリング後の方がわかりやすい品種なら良いのですが、
そうでなかった場合、大ヒントを逃すことになってしまいます。
あと香りのとり方ですが、
大体2秒くらい嗅いだら、休憩。
また2秒くらい嗅いだら、休憩。
これを繰り返します。
ワインはある程度のアルコール度数があるので、ずっと鼻を近づけていると麻痺して香りがとれなくなります。
なので、どれだけ鼻を麻痺させないようにするか?というのが大切です。
余談ですが、試験でいきなりその他飲料を嗅ぎにいってはいけません。
かなりアルコール度数の高いものも出題されるので、そんな香りを嗅いだら最後。
もう麻痺してワインの香りがとれなくなります。
こちらでも肝に銘じておきたいのが、
まだ確認項目があるので、勝手に結論を出さない事。
『この特徴的な香りは〇〇だ!!』
と思い込んでしまった瞬間、外観の部分でも触れましたが、
脳が勝手にその品種の香りや味わいを強く感じさせてきます。
まだ味わいの項目が残っています。
1つだけのヒントで答えを出すのか?
2つのヒントで答えを出すのか?
それとも、3つのヒントをフルに使って答えを導き出すのか?
どれが一番正確な分析が出来ていそうでしょうか?
香りを嗅いだ瞬間、漫画の様にバシッと品種を当てられたらかっこいいなと思いますが、
それで特別に点数が加算されるわけではないので、油断しないように気を付けたいと思います。
ただ外観の時と違うのは、
外観では色んな可能性を考えました。
しかし、香りの段階では、外観のヒントを元に少しずつ幅を狭めていく段階になります。
断定はしないけど、大きな範囲から、小さな範囲へ。
このあたりの加減がなかなか難しいところ…
味わい
こちらは主に外観と香りから得た推測の確認の段階になります。
こちらも集中して確認したい部分があります。
- アタック(口に含んだ際の第一印象)→ワインの強弱に集中
- 甘み→アルコールのボリューム感に集中
- 酸味→どんな種類の酸なのか集中
やはりこちらでも第一印象が大切です。
口に含んだ際に感じる、ワインの第一印象の強弱。
これをアタックといいます。
最初のうちは集中できるように、目をつぶって口に含むと良いそうです。
あとアルコールを含んだ際に感じるワインの甘み。
そしてワインの命ともいえる、酸味。
慣れると一度に複数の要素を感じ取る事が出来るそうですが、慣れないうちは
『まずはアタックに集中。次は甘みに集中。そして酸味に集中だ!!』
と1つ1つ確認してみる方法もあります。
この時に意識したいのは、
『毎回同じ量を口に含むこと』
量が多ければふくよかに感じ、少なければさっぱりした印象に寄ってしまう為、量が変わると印象がブレて練習になりません。
常に一定の量を含んで、その量での感じ方を基準にしましょう。
かつ、味わいう際も香りの部分と同じ様に
舌を麻痺させないことが大切になります。
あとすぐ飲み込んでしまっても、特徴をとらえきれないので
口に含んだら5~7秒は待って、それから吐き出すか飲み込む。
こちらでもずっと口中に含みっぱなしにすると舌が麻痺してしまうそうです。
そして、二次試験で特に意識してとらえたい部分が、
甘みが勝るか?酸味が勝るか?
この甘みと酸味のバランスがかなりのヒントになります。
甘みが強ければ、温暖な産地。
酸味が強ければ、冷涼な産地が予想されます。
あと赤ワインの場合はここに渋みが加わります。
ワインに含まれるタンニンは、粘膜に触れると収縮を起こします。
なので、なるべく口の中全体にワインが触れるようにして、収縮の反応を見るのが良いそうです。
タンニンが多い少ないもかなりヒントになりますので、しっかり自分の中での感じ方の基準を持ちたいところです。
ざっくりまとめ
各項目で気を付けたい事をまとめます。
外観
しっかり時間をかける。
奥に45度傾けて、少し遠くから見る。
(一番前の席でなければ、前の席の方のワインの色を見るのも手)
グラスの先に指をかざして透け具合を見てみる。
赤ワインの場合は、紫とオレンジの割合をしっかり分析する。
可能性を広げる段階。いきなり断定しない。
香り
まずはスワリングせずに、第一印象の香りに集中。
第一印象をとらえたら、スワリングして香りを変化させて更なるヒントを探す。
2秒位嗅いだら休憩をはさんで、鼻を麻痺させないようにする。
外観で広げた可能性をある程度絞る。しかし、断定はしない。
味わい
こちらも第一印象のアタックにまずは集中。
ワインの強弱をとらえる。
甘みと酸味のバランスをとらえる。
口中には5~7秒含んで、吐き出すもしくは飲み込む。長すぎると舌が麻痺するので注意。
口の中全体にワインを触れさせて、タンニンの強さを感じ取る。
全体を通して肝に銘じておきたいこと
- 外観→香り→味わいの順番で見ていく
- いきなり断定しない
- 毎回同じやり方で行う
タイプ分け
白ワイン
色調や濃淡
①色が濃い→温暖?タル熟成?
②色が淡い→冷涼?ステンレスタンク?
③緑がかっている→若い?
香り
①第一印象で特徴的な香りがある→アロマティック品種?
②あまり特徴が無い→ニュートラル品種?
③樽を使っている?使っていない?
味わいのバランス
①アタックが強い→温暖産地?
②アタックが優しい→冷涼産地?
③酸より甘み(アルコール)のボリュームが大きい→温暖産地?
④甘みより酸の方が強く感じる→冷涼産地?
⑤タルを使っている?使っていない?
冷涼?or温暖?
アロマティック?orニュートラル?
ワインの強弱は?
甘み>酸?or甘み<酸?
樽の使用は?
まずはこの辺りをしっかり分析できるようになります。
赤ワイン
色調や濃淡
①色が濃い→温暖?
②色が淡い→冷涼?
③フチは紫色が強い→若い?
④フチはオレンジ色が強い→ある程度時間が経っている?
香り
①特徴的な香りがある?ない?
②タルの香りが強い?弱い?
味わいのバランス
①アタックが強い→温暖産地?
②アタックが優しい→冷涼産地?
③酸より甘み(アルコール)のボリュームが大きい→温暖産地?
④甘みより酸の方が強く感じる→冷涼産地?
⑤タンニンは強い?弱い?
冷涼?or温暖?
濃いワイン?淡いワイン?
甘み>酸?or甘み<酸?
タンニンは強い?弱い?
赤ワインは大雑把に、濃いか淡いワインかで大別できそうです。
しかし、『これはどっちに入るんだ?』みたいな、濃いともとれるし、淡いともとれるような手ごわいやつらも存在しております。
なのでまずは、簡単なのから順番に覚えていこうと思います。
おわりに
正直こんな記事を書いていてなんですが、
私の記事の内容を鵜呑みにせず、しっかりとした先生に習ってください。
個人的にこの試験で一番大切なことは、
明確な根拠を持ってチェック項目を選ぶ事だと思っています。
この品種の場合こうつけます。
このタイプのワインだとこうなります。
試験で得点の取りやすい答え方の典型的な例はあると思いますが、
ただの暗記では無く、
なぜこのようなチェックのパターンになるのか?
もう一歩踏み込んだ理解が必要だと感じています。
というのも、品種でのパターンを暗記した場合、品種が外れたらほぼ点数を失ってしまうからです。
基本の形から、今の目の前のワインの場合ならどうなるか?
そういった微調整が出来る応用力を身につけていきたいと思います。
先生に習うと、なぜそのチェック項目を選ぶのか?という根拠の部分を勉強できるのでよりテイスティングからのワインの理解度が上がります。
例えば、『土』
過去の模範解答で多くの赤ワインで正解になっている項目ですが、これは赤ワインでの『熟成』もしくは『還元』を表す言葉なようです。
赤ワインの熟成の表現は、どんどん森の奥へと入っていくように表現されます。
まず、森の入り口には『土』が、
少し奥にはいると『キノコ』
もっと奥へ入っていくと『腐葉土』になり
やっとたどり着いた先には貴重な『トリュフ』がある
といった具合です。
この『トリュフ』という表現は、最高レベルの賛辞であり、
もともとポテンシャルの高いブドウが、長き熟成を経てたどり着く熟成香。
ということで、試験に出題されるワインの価格帯やヴィンテージではまず感じる事が無い香りとなります。
逆に熟成初期の香りの表現である『土』という言葉は、それなりに使用機会があると思われます。
ということで、チェック項目には裏テーマなるものが存在しておりますので、そのあたりの理解度を高めていきたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。
今年受験される方は一緒に合格をつかみ取りましょう!!
青柳 伊織 Iori Aoyagi
『マダムM』との出会いから、モテたい一心でワインを勉強し始めるも、本格的に沼に落ちる。今ワインに言える事は『大好きです。今度は嘘じゃないっす。』ワイン友達を増やして、その仲間と『ロマネ・コンティ』をワイワイ開けるのが夢。ワイン初心者の私がぶつかった疑問や、経験の記事を書いています。
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