【目指せ一発合格】2023年度ワインエキスパート受験体験記Vol.11~ポルトとマデイラについて~

ワイン
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みなさんこんにちは!

前回は『3大酒精強化ワイン』の一つであるスペインのシェリーをまとめたので、

今回はポルトガルのポルトとマデイラをまとめていこうと思います。

ポルトとマデイラとは?

ポルトもマデイラもポルトガルで生産されている酒精強化ワインになりますが、試験でおさえておきたいポイントが異なります

  • Portポルト→『申請や熟成の年数
  • Madeiraマデイラ→『使用品種

ポルトは様々なタイプがあり、申請や熟成の年数などの決まりを覚えておくのがポイントです。

マデイラは、使用品種により味わいが変わるのでその特徴を把握するのがポイントとなります。

それでは一つずつ見ていきたいと思います。

ポルト

Portポルトはポルトガルの北部Durienseドゥリエンセ地域のPortで生産されています。

まずは基本情報です。

ポルトの基本情報

  • Cadastroカダストロと呼ばれる土地台帳に基づくポイント制度がある。
  • 場所、品種、密植度、仕立て方、樹齢の5項目の合計12項目の合計点数により、最高のAランクから最低のFランクまで6段階に区分けされている。
  • 昔はドウロ川河口の町Vila Nova de Gaiaヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアでしか熟成が認められていなかったが、1986年から原産地ドウロでも熟成がOKとなった。
  • Cima Corgoシマ・コルゴで最も質の高いブドウが産出されている
  • 発酵途中に77%のグレープスピリッツを添加する。この作業をヴェネフィシオといいます。
  • アルコール度数は19~22度です。(ホワイトタイプは16.5度~)

ポイント制がとられているのが面白いですね。

あと添加するグレープスピリッツやアルコール度数の決まりが、後述するマデイラと異なりますので注意が必要です。

続いてPortには様々なタイプがあるのでそちらをまとめます。

ポルトのタイプ

まずはざっくり三種類

  • ルビータイプ…黒ブドウから造られる平均3年熟成の若いタイプ。
  • トウニータイプ…黒ブドウから造られる、小さい樽でガッツリ熟成させるタイプ。
  • ホワイトタイプ…白ブドウから造られるタイプ。例外的に最低アルコール度数が16.5度~OK。

基本はこの3種類がメインですが、黒ブドウから造られるロゼタイプ(最低19度~)もあります。

ルビータイプ

平均熟成3年の若いタイプです。

その年の優れたブドウから造られるスペシャルタイプがあります。

  • Vintage Portヴィンテージポルト…その年の優れたブドウから造られるスペシャルタイプ。収穫から2年目にI.V.D.Pに申請し、ろ過せず瓶に詰めて長期熟成させたのちに飲まれます。なので飲む際はデカンタージュが必要です。
  • L.B.V=Late Bottled Vintage Port…Vintage Portまではいかないけど出来がよかったブドウから造られます。収穫4年目にI.V.D.Pに申請をしてろ過してから瓶詰めされます。なのでデカンタージュの必要無しです。収穫年と瓶詰め年の表示が必要です。

※I.V.D.P…1933年に設立された生産・販売管理と品質保証を担っている半官半民の組織。Instituto dos Vinhos do Douro e Poeto

Vintage Portはざっくり2年。L.B.Vはざっくり4年で区別します。

トウニータイプ

小さい樽で熟成させるなどして酸化がすすみTawny(褐色)になったタイプ。

  • 熟成年数表示トウニーポルト…長い熟成を経て琥珀色になったトウニーポルト。10年、20年、30年、40年ものがある。年数は平均を示している。この平均樽熟成年数の表示と瓶詰め時を記載する。
  • Colheitaコリェイタ…収穫から3年目にI.V.D.Pに申請して、7年目から瓶詰めする。収穫年と瓶詰め時を記載する。

10年刻みの平均を記載しているのが、熟成年数表示トウニーポルト。

37という数字が出てきたらColheitaです。

ホワイトタイプ

白ブドウから造られるタイプで、最低アルコール度数が16.5度~と例外的に認められています。

低温で通常のポルトより長めの発酵をしています。

ポイント

申請や熟成年数』ここの数字を要チェックです。

ルビータイプ

ルビータイプ申請・瓶詰めデカンタージュ
Vintage Port2必要
L.B.V4必要なし
申請と瓶詰め開始

トウニータイプ

10年区切りの数字→熟成年数表示トウニーポルト

平均熟成年数瓶詰め時の記載→熟成年数表示トウニーポルト

37Colheitaコリェイタ

収穫年瓶詰め時の記載→Colheitaコリェイタ

どのキーワードがどのタイプをいいたいのかを覚えてしまいましょう。

マデイラ

Madeiraは、リスボンより南西に1,000km離れたマデイラ諸島で造られる酒精強化ワインです。

マデイラ諸島はエンリケ航海王によって開発されました。

マデイラ基本情報

  • 加熱熟成させる工程がある
  • 添加されるグレープスピリッツは96度
  • アルコール度数は17~22度
  • ブドウ品種によってマデイラのタイプが変わる。

添加されるグレープスピリッツやアルコール度数の規定がPortポルトと若干違います。

あとマデイラがマデイラたる理由は『加熱熟成』にあります。

加熱熟成の種類

自然の力を利用するか人工的に加熱するかで2通りの方法があります。

  • Canteiroカンテイロ…太陽光を利用して加熱熟成させる方法。ガラス窓のある屋根裏部屋や、屋根の薄い専用倉庫に樽を並べて熟成させる。上の方が高温で熟成が早く、下の方が涼しくゆっくり熟成する。樽詰め開始は収穫年の翌年から。3年間は商品化ができない。
  • Estufaエストゥファ…タンクの内部または外部に通した管にお湯を循環させて加熱する方法。平均50度前後で最低3か月加熱する。冷却後はCubaクーバと呼ばれる大きな木樽で熟成され、収穫翌年の11月から瓶詰めができる。簡単かつ比較的早く加熱熟成の効果が得られるのが特徴。

Canteiroカンテイロが自然の力を利用し、Estufaエストゥファが人工的に加熱熟成させるタイプです。

そしてこの加熱熟成に加えて、使用する品種でマデイラの個性が変わります。

マデイラの使用品種

大きく分けると黒ブドウグループと白ブドウグループです。

黒ブドウグループ

  • Tinta Negraティンタ・ネグラ…基本的にはこの品種。収穫量は全体の80%。3年熟成タイプに多く使われ辛口から甘口まで幅広く造られています。
  • Bastardoバスタルド…かつて栽培されていたらしい品種。最近は見かけなくなったようです。

白ブドウグループ

よく聞かれるのはこちらのグループになります。

  • Sercialセルシアル冷涼な気候の地域で栽培される辛口タイプ。華やかな香り
  • Verdelhoベルデーリョ涼しい北部で栽培される中辛口タイプ。味わい豊か
  • Boalボアル暖かい南部で栽培される中甘口タイプ。芳醇なワイン
  • Malvasiaマルヴァジア…海岸沿いの暑い地域で栽培される甘口タイプ。濃縮感のあるリッチな味わい。
  • Terrantezテランテス…激レア!!果皮が非常に薄く繊細なので生産量が非常に少ない中辛口~中甘口の中間タイプ。

『ブドウ品種・気候とタイプ・特徴』をセットで覚えると得点しやすいです。

EX)海岸沿いの暑い地域で造られる濃縮感のあるリッチな味わいが特徴のマデイラは?

→A)Malvasia のような問題が出てきました。

マデイラのタイプや規定

いくつかルールがあるのでまとめておきます。

  • 最低3年以上の熟成義務がある。
  • 品種名を表示するには、85%以上の使用が必要。
  • 交配種やラブルスカ種は使用できない。

熟成表記

熟成年数に応じて出来る表記があります。

名称熟成年数
Reserva5年以上
Special Reserva10年以上
Old Reserva10年以上
Extra Reserva15年以上
熟成年数の名称

スペシャルタイプ

Portにもあったスペシャルタイプのマデイラです。同じ呼び方のものがありますが、内容が全く違うのでおさえておきましょう。

  • Frasqueiraフラスケイラ…単一品種・単一収穫年表記のヴィンテージワイン。最低20年の樽熟成が必要なまさにスペシャルタイプ。
  • Colheitaコリェイタ5年以上の樽熟成を行なったワイン。

Portポルトと比べるとColheitaコリェイタは大分違いますね!!

ポイント

加熱熟成にて天然の力を利用するのは?

Canteiroカンテイロ

加熱熟成にて人工の力を利用するのは?

Estufaエストゥファ

マデイラの使用品種による味わい産地の気候の違いをチェックです!!

両者の比較

どっちがどっちだっけ?という部分をまとめました。

PortMadeila
添加するスピリッツの度数7796
アルコール度数19~22
(ホワイトタイプは
16.5~)
17~22
Colheitaについて3年目に申請
7年目から瓶詰め
5年以上の熟成
PortとMadeilaの比較

添加するグレープスピリッツのアルコール度数や、規定のアルコール度数に違いがあります。

Portは一般的には19~22度。白ブドウで造るものに関しては例外的に16.5~が認められています。

Madeilaは、黒ブドウだろうが白ブドウだろうが17~22度です。

Colheitaはどちらかというと、Portの3年~、7年~を聞かれる問題が多い気がします。

あれ?となったら面倒でもスッキリさせて一緒に試験に備えましょう!!

終わりに

シェリーに続いて酒精強化ワインについてまとめました。

勉強がすすむたびに世界では色んなワインが造られていて色んな決まりがあるんだなというのと、

色んな歴史や特徴を反映しているんだなぁというのをしみじみ感じます。

勉強の範囲が増えてくると、内容がごちゃごちゃになりがちなので

その都度モヤモヤをスッキリさせながら合格にむけて前進していきます!!

今回もお読みいただきありがとうございました。

今年受験する方は一緒に頑張りましょう!!

既に合格されている方はアドバイスを頂けるとありがたいです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

Iori Aoyagi

青柳 伊織 Iori Aoyagi
『マダムM』との出会いから、モテたい一心でワインを勉強し始めるも、本格的に沼に落ちる。今ワインに言える事は『大好きです。今度は嘘じゃないっす。』ワイン友達を増やして、その仲間と『ロマネ・コンティ』をワイワイ開けるのが夢。ワイン初心者の私がぶつかった疑問や、経験の記事を書いています。
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