みなさん、ワインの資格といって真っ先に思い浮かぶのは『ソムリエ』ではないでしょうか?
実はソムリエ以外にもワインの資格は沢山あり、その中の一つに『ワインエキスパート』があります。
今回はそのワインエキスパートについて、どんな資格なのか?どんなメリットがあるのか?というのをまとめていきます。
ワインエキスパートとは?
こちらは一般社団法人日本ソムリエ協会が認定している資格となります。
当初はワインエキスパートという資格は無く、ソムリエの資格のみでした。
ソムリエの資格を取得する為には、ワイン関連の職業での実務経験が3年以上(日本ソムリエ協会の会員は2年以上)、かつ今現在ワイン関連の仕事をしている方のみ。
なので、ワイン関連の職業にはついていない愛好家の為の資格が欲しいという要望を受け、1996年からワインエキスパートという資格が誕生しました。
ソムリエとの違いは?
正式な違いはJ.S.A.(一般社団法人日本ソムリエ協会)に定義が載っていたので引用させて頂きます。
【ソムリエ】
ソムリエとは飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナルを言う。ソムリエの役割は、飲食店もしくは酒類・飲料を販売する施設におけるそれらの提供、ならびに商品の適切な紹介とサービスを中心に、啓蒙・普及・研究・教育を目的とした専門的なアドバイスや清潔で衛生的な食事環境の維持など広範に及ぶ。ソムリエの資格はここで言う定義・役割・求められる能力に適うと認められた者に対して、然るべき機関(我が国においてはJ.S.A.)により認定される。
※通称として既に様々な「○○○ソムリエ」として使用されているが、職業分類において正式な呼称ではない。
厚生労働省 職業分類(大分類E サービスの職業、中分類40 接客・給仕の職業、小分類403 飲食物給仕係、細分類403-03 ソムリエ)のとおり認定された独自の職業である。
一般社団法人日本ソムリエ協会HPより引用 https://www.sommelier.jp/exam/
【ワインエキスパート】
ワインエキスパートとは酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有する者を言う。 プロフェッショナルな資格ではないので職業は問わず、むしろ愛好家が主な対象となる。我が国においてはJ.S.A.が、ここで 言う定義・役割・求められる能力に適うと認められた者に対してワインエキスパートの資格を認定している。
一般社団法人日本ソムリエ協会HPより引用 https://www.sommelier.jp/exam/
ざっくりまとめると
ソムリエ→厚生労働省に認定されている独自の職業、プロフェッショナル。
ワインエキスパート→趣味の資格。
あとは受験資格と試験内容が異なります。
受験資格の違い
ソムリエ→ワイン関連の職業で実務経験が3年以上(日本ソムリエ協会の会員は2年以上)、かつ現職の方。
ワインエキスパート→満20歳以上の成人ならだれでもOK。
なので、ワイン関連の職業に就いていない方はワインエキスパートの受験になります。
ソムリエ試験とワインエキスパート試験の違い
ソムリエ試験
- 一次試験:学科
- 二次試験:テイスティング・論述試験
- 三次試験:サービス実技
ワインエキスパート試験
- 一次試験:学科
- 二次試験:テイスティング
ソムリエ試験は三次試験まであるのですが、ワインエキスパートはソムリエ試験から論述試験とサービス実技を抜いた二次試験までとなります。
しかしながら、学科試験はソムリエ試験もエキスパート試験もほぼ同じ内容です。
テイスティング試験では、
ソムリエでは、ワイン3種類・ワイン以外2種類
エキスパートでは、ワイン4種類・ワイン以外1種類
と難易度に若干の差があります。
つまりワインエキスパートとは、プロでは無いがソムリエと同程度の能力があるというのを証明する資格になります。
どんなメリットがあるの?
ワインエキスパートを取得するメリットですが、正直あくまで趣味の資格ということで
『ソムリエ並みにワイン詳しいです』
といえるくらいかなと思います。
それでも絞り出してメリットを3つ羅列させて頂くと、
- ワイン検定の認定講師になれる
- ワイン関連の仕事に就職する際に多少有利になる
- ソムリエ試験を受ける際に一次試験が免除される
ワイン検定の認定講師になれる
一応ワインエキスパートでは出来て、ソムリエでは出来ないことがあります。
J.S.A.(一般社団法人日本ソムリエ協会)ワイン検定の認定講師になることです。
ワイン検定は講義を聞いたのち試験を受けるスタイルなのですが、有資格者はその検定の実施ができます。
公式のHPより講師の条件を引用させて頂きました。
Q:ワイン検定講師にはどのような人がなれますか?
一般社団法人日本ソムリエ協会ワイン検定HPより引用 https://winekentei.com/instructor.html
A:①シニアワインエキスパートまたはワインエキスパート有資格者で、ブロンズクラス講師認定セミナーおよびブロンズクラス開催日において当協会個人会員で年会費を納入済の方。
②ブロンズクラス講師認定セミナーを受講し、ワイン検定認定講師として積極的に活動できる方。
①と②の条件を満たしている方が、ワイン検定ブロンズクラス講師として認定されます。
あくまでこれ一本で食っていけるか?と言われるとそうでもないようで、だいたい皆さん本業を頑張りつつ掛け持ちでやられているようです。
一応ソムリエの方で認定講師になる為の条件は、ワインエキスパートの資格を取得することです。
こういうとなんですが、無理くりワインエキスパートのメリットを生み出したように私は感じました。
ワイン関連の仕事に就職する際に多少有利になる
ワインが好きな方の間では有名な資格なので、ワインを扱う仕事に就く際には
『あの試験を突破したんだね。おぉ友よ。』
ということで有利になる事が予想されます。
しかしながら、就職できるかはあくまで自分次第なようなので過度な期待は厳禁!!
ソムリエ試験を受ける際に一次試験が免除される
過去5年間という縛りはありますが、ワインエキスパートを取得してからワイン業界に飛び込み、ソムリエの受験資格を得た場合には、一次試験が免除となります。
また学科試験を突破しなくていいというのは精神的に良いですね。
試験の内容
ワインエキスパートでは一次試験の学科と二次試験のテイスティングを突破すると晴れて合格となります。
一次試験(学科)
問題は全て『日本ソムリエ協会教本』から出題されます。
こちらはJ.S.A.(一般社団法人日本ソムリエ協会)が作っているテキストで、出願すると自宅に届きます。
試験時間は70分で、問題数は2022年度は120問でした。
CBT試験というパソコンを使ったテストになり、合否はその場で表示されます。
パソコンに入っている膨大な数の問題の中から、一人一人ランダムで120問組まれるようで、人によってはフランスの問題が多かったり、イタリアの問題が多かったりとバラツキがあるみたいです。
その場ですぐ合否判定がでるのは、ドキドキですね!!
二次試験(テイスティング)
ワインエキスパートでは、ワイン4種類・その他のお酒1種類が出てきます。(2022年度)
試験は選択式で、ワインの特徴について各項目ごとに選択肢が用意されています。
項目のEX)外観・香り・味わい・その他
各産地や品種の特徴をしっかり捉えられる能力が合格には必要となります。
合格の難易度は?
ワインエキスパートの合格率を調べてみました。
年 | 合格率 |
2015 | 39.6% |
2016 | 38.2% |
2017 | 33.1% |
2018 | 32.8% |
2019 | 44.2% |
2020 | 43.3% |
2021 | 40.7% |
2022 | 32.9% |
2015年から2022年までの平均合格率は38.1%。
だいたい3人受けたら1人受かるくらいの難易度ですね。
決して楽々合格できるような資格ではありません。
合格に必要な勉強時間
ネットでいろいろと調べてみましたが、こちらに関しては
『人による』
という部分が大きく、80時間(テイスティングは含まない)~200時間と結構ブレていました。
なにしろ問題が出題される教本が、ページ数約800というワインへの愛が重いかなりボリュームのある内容となっているからです。
要領のいい方は試験傾向を掴んだりヤマなんかを張って、無事合格!!という方もいらっしゃるよう。
暗記が得意な方であれば学習時間は少なくて済みますし、苦手な方は学習教材やスクールを活用し工夫して覚えていく必要がありそうです。
受験の流れ
受験の大まかな流れとなります。
- 出願(3/1~5/31 or 6/1〜7/14)
- 一次試験会場の予約(6月中旬~7月)
- 一次試験(7/20~8/31)
- 二次試験(2023年は10/16)
まず定められた期間中にWEBから出願をします。
そうすると教本が送られてくるので、勉強します。
次に6月中旬から7月の期間に会場予約メールが送られてくるので、自分の都合の良い日にちで予約を取ります。
予約した日にちに一次試験を受け、突破したら二次試験へとすすむ。
二次試験は試験日が決まっているので、二次試験を突破したら晴れて合格!!
という流れになります。
掛かる費用は?
さすがワインの資格。
結構なお値段します(自分の中で)
受験回数 | 一般の方 | 会員の方 |
1回 | 29,600円 | 20,380円 |
2回 | 34,440円 | 25,220円 |
受験回数というのは、一次試験ではお金を払えば最大2回まで受験ができます。
どちらかで受かれば一次試験突破です。
1回と2回受験の差額は4,840円で、保険として払っておくかどうかは迷うところ。
更に!!
合格すると認定登録料として20,950円払う必要があります。
なので合格した場合、
1回→50,550円
2回→55,390円
かなりいいワイン買えるぞこの金額!!
金額も金額なので、忘れずに用意しておきましょう。
終わりに
ワインエキスパートはワイン愛好家の為の資格となります。
あくまで趣味の資格なのでワイン検定の認定講師になれる以外には、特別な職につけるとかそういったことはありません。
しかしながら、受験料や合格した際の認定料はなかなかのお値段…
ということは、
『ワインエキスパートを取得している方々は本当にワインが好き!!』
難易度も合格率38.1%ということで、気軽には取れない資格だと思います。
資格を持っていると、同じく資格を取得している方々と苦労を分かち合えたり、お互いある程度の知識がある前提の話題で盛り上がれたりするので、円滑なコミュニケーションがとれるそうです。
私はよくアニメを観るのですが、やはり全く見ない人との会話と同じアニメ好き同士の会話だと、盛り上がり方がかなり違います。
資格のあるなしに上下関係はありませんが、ある程度の知識がありますというのを一瞬で相手に伝えられるのは便利だなと思いました。
ワインが好きで好きでたまらんのじゃ!!という方はひとつ腕試しに受験してみてはいかがでしょうか?
ここまでお読みいただきありがとうございました。
P.S 私は2023年度の試験に挑戦しようと思います。今年受験する方がいれば一緒に頑張りましょう!!